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北方町の小児科クリニック。杉山こどもクリニックです。

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小児科のメモ帳

経口弱毒生 ロタウイルス ワクチン


2020年10月より定期接種となります。
ただし、定期接種の対象は2020年8月以降に生まれた方のみです。



経口弱毒生 ロタウイルス ワクチン (2種類あります)
ロタリックス 平成23年11月21日発売(平成23年6月製造販売承認)
ロタテック  平成24年 7月20日発売(平成24年1月製造販売承認)




 乳幼児のロタウイルス感染による胃腸炎を予防するためのワクチンで、赤ちゃん専用の内服するワクチンです。

 2種類のワクチンが発売されています。
「ロタリックス」は生後6週〜24週まで、「ロタテック」は生後6週〜32週までの赤ちゃんに投与できます。またどちらのワクチンも、初回接種は
生後14週6日までに行うことが推奨されています。

 ロタウイルス胃腸炎は以前「白色便性下痢症」と呼ばれ、赤ちゃんの嘔吐下痢症の代表格でした。最近はノロウイルスのほうが有名になり”ロタウイルス”という名前を聞いたことがない若いお母さんも多いようです。
 ロタウイルスに感染すると、通常は胃腸炎をおこし下痢や嘔吐を認めます。重症化すると脱水症状などで入院治療が必要になることもあります。
 更に、ロタウイルス脳炎(脳症)という病気になり、神経系の後遺症を残すことも稀にあります。
 今までは有効な予防策はありませんでしたが、ロタウイルスワクチンの接種(内服)により、感染を予防できるようになります。

 現在、日本では2種類のワクチンが発売されています。
 1)ロタリックス内用液:平成23年6月にグラクソ・スミスクライン株式会社が製造承認を取得し、平成23年11月21日に発売されました。
 2)ロタテック内服液:平成24年1月18日にMSD株式会社(旧万有製薬)が製造承認を取得し、平成24年7月20日に発売されました。



 
接種時期・スケジュール

  
ロタリックス(GSK社)
             
2回接種、1回接種量1.5ml

             接種対象者・接種期間
             生後6週0日〜24週0日まで
             (誕生日を生後0日と考えます)

      1回目の接種は
生後14週6日までに行うことが推奨されました。
                         (平成24年4月〜)
      4週間以上の間隔をおいて2回接種(経口接種)
      生後24週1日以降の赤ちゃんには接種できません


  
ロタテック(MSD社)
             
3回接種、1回接種量2.0ml
             接種対象者・接種期間
             生後6週0日〜32週0日まで
             (誕生日を生後0日と考えます)
      1回目の接種は
生後14週6日までに行うことが推奨されています。


ワクチンの説明

  WHO(世界保健機構)は、発展途上国の乳幼児死亡を減らす目的で
  ロタウイルスワクチンの接種を推奨しています。
  先進国においては、ロタウイルス胃腸炎の重症例を減らす目的で接種されています。


ワクチンが必要な理由

  (1)ロタウイルスによる胃腸炎の予防。

  ロタウイルスは乳幼児の急性重症胃腸炎の主な原因病原体です。本邦では6歳未満の小児のうち年間約80万人(100人あたり11人)が、ロタウイルス胃腸炎で外来受診をしていると推計されています。今のところ対症療法が唯一の治療法で抗ウイルス薬はありません。発症すると激しい嘔吐と下痢を繰り返すため、水分補給が十分にできず気づかないうちに脱水症状に陥ってしまうことがあります。2011年7月現在120カ国以上で承認・販売されています。(グラクソ・スミスクライン社の「お知らせ」より抜粋)

  (2)ロタウイルスによる神経系の合併症の予防。

 ロタウイルスは神経系の合併症である脳炎・脳症を引き起こすことがあります。胃腸炎に罹っても点滴や入院加療で多くは後遺症を残さずに治癒します。しかし、脳炎・脳症に罹患すると神経系の後遺症を残すことが稀にあります。もちろん、ロタウイルスワクチンの効能には神経系合併症の予防については記載されませんが、ロタウイルスに感染しなければ神経系合併症には至らないわけですから、是非、ロタウイルスワクチンを接種することをお勧めします。

効果

 ロタウイルスによる胃腸炎の予防

  ロタリックス(GSK社)
    ヒト由来のG1P[8]型ロタウイルスを使用してワクチンを作っています
    G1P[8]型の交叉耐性により5種類のロタウイルスに抵抗力が付きます。
    重症小児ロタウイルス胃腸炎の98%は、この5種類のウイルスが原因で発症します。


  ロタテック(MSD社)
  由来のG1,G2,G3,G4およびP1A[8]型の5つの血清型を含みます。




副反応・副作用

  ◆ロタリックス国内臨床試験(承認時)
      接種症例508例(生後6週0日〜14週6日までの赤ちゃん)
      接種後30日間の副反応
          易刺激性37例(7.3%)・・・接種後に機嫌が悪くなること
          下痢18例(3.5%)
          咳嗽・鼻漏17例(3.3%)



日本では承認時の臨床試験において生後15週0日以降の赤ちゃんにはロタリックスは投与されていません。

以前アメリカでは、世界初のロタウイルス・ワクチン「ロタシールド」の接種後に腸重積の発症頻度が増えたことがあります。ロタシールドは現在使用されておりません。

一方、腸重積の発症頻度は年齢が大きくなるに従って高くなることが知られてます。

更に、上述のようにワクチン承認時の国内臨床試験では生後15週0日以降の赤ちゃんにはワクチンが投与されていません。

以上の事実を考慮して、日本では生後24週まで接種できるきまりですが、当院では生後14週6日までの赤ちゃんを対象にワクチンのご説明を行っています。

平成24年4月、発売後4ヶ月弱にして、ワクチンの添付文書が改訂され、「初回接種は生後14週6日までに行うことが推奨されている。」という文言が追加されました。






接種不適当者

 どのワクチンにも「接種不適当者」という項目があります。例えば「接種当日に、熱があるお子さん」、「かぜや気管支炎などの病気にかかっている時期のお子さん」などです。
さて、ロタウイルスワクチンのロタリックスには特有の「接種不適当者」が記載されていますのでご紹介致します。

  1)腸重積になった事がある赤ちゃん
  2)腸重積の発症を高める可能性のある未治療の先天性消化管障害(メッケル憩室など)があると診断されている赤ちゃん




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